永遠の人

永遠のダルマ(真理) - 智慧と神秘の奥義

チャクラについて(29)-サハスラーラ・チャクラ(第7チャクラ)

今回も、脳卒中により、左脳が働かなくなった脳科学者、ジル・ボルト・テイラー博士が、自らの体験を元に書かれた「奇跡の脳」より、

ひとつの脳でありながら、脳梁により接続されているとは言え、左脳と右脳のそれぞれの働きの違いを通して、両者は、別々の世界を体験している、という驚きの報告をご紹介しました。

 

左脳は、思考、感情を、右脳は、直観、感覚を役割分担しているということですが、通常は、私たち人間は、両方の脳が同時に機能しているのですが、

そうは言っても、人間社会においては、左脳優先であることが求められることが多いため、常に左脳が優先になっており、思考、判断、感情、などが、頭の中を占め、

右脳が感知している世界の情報をかき消してしまっていることが多いと考えられます。

 

また、今回ご紹介する内容の中に、ジル・ボルト・テイラー博士の体験とよく似た体験を実験により検証することで、実際に、脳のどの部位に変化があったのか?ということが明らかになっています。

 

それでは、続きをご紹介しましょう。

 

 

『回復するまでのわたしの目標は、二つの大脳半球が持っている機能の健全なバランスを見つけることだけでなく、ある瞬間において、どちらの性格に主導権を握らせるべきか、コントロールすることでした。

これはきわめて重要なことだと思っています。

なぜなら、右脳の個性の最も基本的な特色は、深い内なる安らぎと愛のこもった共感だからです。

内なる安らぎと共感の回路を動かせば動かすほど、より多くの平和と共感が世界に発信され、結果的により多くこの地球上に広がるでしょう。

脳のどちら側が、どんな種類の情報を処理しているかをハッキリさせることにより、個人としてだけでなく、人類の一員としてどのように考え、感じ、行動するかについて、より多くの選択ができるようになるはずです。

神経解剖学的な見地からは、左脳の言語中枢および方向定位連合野が機能しなくなったとき、わたしは右脳の意識のなかにある、深い内なる安らぎを体験することができたのです。

2001年以降は、アンドリュー・ニューバーグと故ユージーン・ダキリ両博士によって行われた研究が、わたしの脳の中でなにが起きているかを正確に理解する助けになりました。

ニューバーグとダキリはSPECT技術(単一光子放射断層撮影法といい、体内に注入した放射性同位体から出るガンマ線を利用して、脳やからだの輪切り映像を撮影する)を利用して、宗教的もしくはスピリチュアル(神秘)体験をもたらす神経構造を明らかにしました。

ニューバーグとダキリは、脳のどの領域が意識の変容をもたらし、個人の意識から離れて、宇宙と「ひとつ」であるという感じ(神、ニルヴァーナ、幸福感)を生み出すのか、知りたいと思ったのです。

チベットの僧侶とフランシスコ会の修道女が、SPECT装置の中で瞑想あるいは祈るために招かれました。

彼らは、瞑想のクライマックスに達するか神と一体になったと感じたときに、ひもを引くように指示されました。

こうした実験によって、脳の中の非常に特殊な領域で、神経学的な活動が変化することが明らかになりました。

まずはじめに、左脳の言語中枢の活動の減少が見られ、脳のおしゃべりが沈黙します。

次に、左脳の後部頭頂回にある方位定位連合野の活動の減少が見られました。

この部分は、その人の肉体の境界の判別に役立っています。

この領域が抑制されるか、感覚系からの信号の流入が減少すると、まわりの空間に対して、自分がどこから始まりどこで終わっているかを見失ってしまうのです。

 

こうした最近の研究のおかげで、左の言語中枢が沈黙してしまい、左の方向定位連合野への正常な感覚のインプットを防げられたとき、わたしに何が起きていたのかを、神経学的に説明することができます。

わたしの意識は、自分自身を固体として感じることをやめ、流体として認知する(宇宙とひとつになったと感じる)ようになったのです。

 

脳卒中により、わたしは内なる自分を発見しました。

ほんの少し、考え方や感じ方を変えるだけで、深い心の安らぎが得られることに気づいたのです。

安らぎを体験するといっても、人生がいつも歓喜に満ちあふれている、という意味ではありません。

あわただしい人生の、あたりまえの混乱の中にあっても、心の歓びに触れることができるという意味なのです。

多くの人にとっては「考える頭」と「思いやる心」のあいだの距離は、ときとして横切って進みます。

またある人は、絶望や怒りやみじめさに深くとらわれて、心の安らぎなんて別世界のものです。

左脳マインドを失った経験から、深い内なる安らぎは、右脳にある神経学上の回路から生じるものだと心の底から信じるようになりました。

この回路はいつでも機能しており、いつでもつなげることができます。

安らぎの感覚は、現在の瞬間に起こる何かです。

それは過去を反映したものや、未来を投影するものではありません。

内なる安らぎを体験するための第一歩は、まさに「いま、ここに」いる、という気になること。

どんなときに、深い心の安らぎのループが働いているのかに気づくことができれば、その回路に意識的につなげることが容易になります。

どんなときにこの回路が働いているのかわからず、悪戦苦闘している人もいるでしょう。

その唯一の理由は、他の思考に心が向かっているせいです。

これは、当然のことです。

なぜなら、西洋の社会は左脳の「する」(doing)機能を右脳の「ある」(being)機能よりずっと高く評価し、報酬を与えるものだから。

あなたが右脳マインドの意識に近づくのが難しいのは、あなたが成長するあいだに「こうしなさい」と教えられたことを、実にうまく学んできたからにほかなりません。

細胞たちのこれまでの成功を、褒めてあげてください。

そのうえで、わたしの仲の良い友人、カット・ドミンゴ博士が宣言しているように、「悟りは、学ぶことではなく、学んだことを忘れること」だと知りましょう。

 

内なる安らぎを体験するためにわたしが最初にするのは、自分がより大きな構造の一部であることを思い出すこと。

いいかえると、決して自分と切り離すことのできないエネルギーと分子の、永遠の流れの一部であることを思い出すこと。

自分が宇宙の流れの一部だと気づくことによって、わたしは生まれながらに安全だと感じ、地上の天国としての人生を体験できるのです。

自分を包み込む全体と一心同体なのですから、自分が脆いなんて感じるはずはありません。

左脳マインドはわたしを、いずれ死にいたる一人の脆弱な人間だと見ています。

右脳マインドは、わたしの存在の真髄は、永遠だと実感しています。

いずれ、わたしは自分をつくっている細胞を失い、三次元の世界を知覚する能力を失うかもしれませんが、このエネルギーはただ、幸せに満ちた穏やかな海に還ってゆくだけ。

このことに気づき、ここにいる間はずっと感謝し続けると同時に、命をつくってくれる細胞たちが満足した状態にあるよう、わたしは熱意をもって努力しています。

現在の瞬間に戻るためには、心を意識的にのんびりさせる必要があります。

それには、急ぐ必要はない、とまず決めることです。

左脳マインドが慌てふためいて、思いを巡らせ、熟考し、分析しているときでも、右脳マインドは、ゆっくりくつろいでいるのです。』

(奇跡の脳  ジル・ボルト・テイラー

 

誰でも、同じような体験をすることはできないため、ここに書かれていることが本当か、どうかは、自ら検証することは不可能ですが、

60億人の中のたった一人ですが、このような稀なる体験をし、言語を取り戻して、私たち一般人に、このような貴重な体験談を伝えてくれたことは、「脳」という未知なる領域に踏み込む第一歩となると感じます。

 

私たちは、自分の脳を、このように客観的には見ることが(考えることが)できないため、ジル・ボルト・テイラー博士の体験談には、私たちが自分と言う存在を考える時に、多くの示唆を与えてくれるものと思います。

 

次回は、もう少し、詳しく、左脳と右脳の働きについて、見ていきましょう。

 

そうすることで、「いまここ」にありながら、今まで認識してきた世界と同時に、まるで違う別世界が展開していることに気づくことでしょう。

 

 

 

 

誰でも肉体を脱ぎ捨てるとき

心で憶念している状態に必ず移るのだ

クンディーの息子よ これが自然の法則ーー

常に思っていることが死時に心に浮かぶ

 

故にアルジュナよ 常にわたしを想いながら

同時に君の義務である戦いを遂行せよ

心と知性(ブッディ)をわたしに固く結びつけておけば

疑いなく君はわたしのもとに来るだろう。

(バガヴァッド・ギーター第8章6ー7)